エルサレムに行ってくる。いずれそのうちに。
ユダヤ教・イスラム教・キリスト教の聖地が狭いところに隣り合わせにひしめいていて、じつに面白いところだそうだ。
行ってきた牧師さんにきいたら、日本人だというと安全で歓迎されるという。
『暗夜行路』は面白くなかったが、大山に登る最終章がよかった。高校時代くらいに仲代達也と山本富士子が演ずる映画をみた記憶がよみがえった。
春の読書。つぎはメルヴィル『白鯨 モビィ・ディック』にしようとしたが、アメリカ南北戦争前夜の作品で神の不在を論じたドストエフスキー『大審問官』に影響された思想小説だとか訳者解説にえんえん小難しく書いてある。しょっぱなにWhaleを10カ国語で書き並べてあったりするので面倒くさくなった。最近、読む前に解説をよんでしまう悪い癖がついた。恥ずかしい。
そこでショーロホフ『静かなるドン』にした。――のだが、全三巻のうち二巻だけしか本棚にみあたらない。これも訳者解説などをついつい読んでいると、ショーロホフ(1905-1984)は若くしてあまりに有名な『静かなるドン』を書き上げ、ソ連の国民的英雄になった。スターリンの粛清下でも無実の罪で逮捕された銃殺寸前の人々をずいぶん救ったという。
ところが大戦が終わり、スターリン批判後にはすっかり体制派に変質し、『収容所群島』のソルジェニーツィンなどを逆に批判する側にまわっていたというから驚く。とくに60年代にノーベル文学賞もらって夫婦で世界中を講演などしてちやほやされて歩いているうちにソ連官僚体制の宣伝に熱心になってきたという。
『怒りの葡萄』のスタインベックもノーベル文学賞もらって駄目になった。ベトナム戦争ではベトナムの農民を爆撃する米軍機にのって戦意高揚の従軍記を書くほど精神的に落ちぶれた。人間としとって生活安泰、有名になって勲章なんかもらうと駄目になるひと多いんだね。われらは勲章もらえそうなひといないから大丈夫か
猫跨ぎさんが紹介していて知ったのだが、ノーベル文学賞を断ったのはサルトルだけだという。サルトルはえらいな。
しかしノーベル賞をこんなに大騒ぎして国中で有り難がるのは日本的現象だそうだ。明治維新後の脱亜入欧の延長線上の西洋崇拝かもしれない。
えらいといえば松川事件にとりくんだ作家広津和郎も人間が立派だったらしい。
いま劇団民芸が広津和郎を描いた『静かな落日』を新宿紀伊國屋ホールでやっているので観に行く。
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